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4. 電子商取引全般に係る課題

(1) 電子データの証拠能力・証拠価値の問題

● 電子データの証拠能力・証拠価値についての制度的対応が必要なのではないか

● 電子データの証拠価値を高める方策も採るべきではないか。(電子公証制度など)

?@ 電子商取引においては、取引データが電子化されることから必然的に取引データの記録も電子化されることになるのでその証拠価値について検討しておく必要がある。電子化した場合には、文書と異なり改竄することが容易であり、改竄した痕跡が残らないことや、電子データを保管している間にデータの内容に変動が生じる恐れがある得ると思われる。そのため、電子データに証拠能力があるかどうかは、法定証拠主義のもとではそれをはっきり認めた法律がない場合には否定されてしまう可能性がある。

 

?A しかし、日本における民事訴訟は自由心証主義がとられており、基本的には何でも法廷に出してもよいということになっており、それに証拠価値があるかどうかは裁判官の判断で決められる。

 

?B しかしながら、この電子データの証拠価値の問題というのは、原本とは何かという根本問題にかかわることのように思われる。民事訴訟の手続上、契約書のような文書を裁判所に提出する場合には、民事訴訟法によると「原本、正本または認証ある謄本をもってこれをなすことを要す」という条文が置かれている。そのため、電子データに原本があるかどうかという問題であり、ハードディスクとかフロッピーディスクといった媒体については、電子データが通常の媒体に記録されている限りはいつでも書きかえが可能であり、いわゆる確定的な性質と単一性と言う性質を持っていないことになる。その点で、伝統的な原本の概念からかなりはずれることとなり、証拠を原本に限定するという立法のもとでは証拠にできない可能性が出てくるものと思われる。

?C このために UNCITRAL モデル法では、一定の要件のもとに電子データを原本の機能的等価物として扱う方式が採用されている。日本の裁判実務では、電子データは紙にプリントアウトして、これを書面の原本として提出するということが通常である。しかし、実際にはプリントアウトされたものは電子デー

 

 

 

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